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2008.08.18

「国体護持」の大罪

 63年前の8月14日、JR京橋駅南口ホーム(旧国鉄片町線駅)に米軍の1トン爆弾が投下された。日本が降伏した「8・15」の1日前である。犠牲者は身元不明者を入れると7百名に達する。まさに一瞬の大惨事だった。同駅近くに慰霊碑がある。今年もこの前に立って黙祷を捧げた。去年も書いたことだが、当時、戦況は敗北必至、残された道は降伏のみだった。早々に降伏しておれば14日の悲劇も避けられたはずである。痛恨の想いがする。この日に大空襲を加えた米国もえげつないが、ぐずぐずしていた日本政府・軍首脳部の罪は万死に値する。

 

 改めて昭和天皇の終戦証書を見た。「朕はここに国体を護持し得て汝臣民とともにあり、神州の不滅を信じ、国体の精華を発揚し、よく朕が意を体せよ」。現代風に言うとこんな言葉がある。何のための誰のための降伏なのか、抱き続けた疑念と不信感がまた高まる。この夏、東条英機元首相の直筆メモ(1945・8・10~14日)が公開された。「皇位確保、国体護持が否定されるなら1億1人となるも敢然戦うべき」とある。大本営本部は旧満州にいた関東軍兵士や在留邦人をソ連の使役に提供した。この棄民政策も国体護持のためだったと聞く。

 

 私が「国体護持」を嫌悪するのは、その国家観の非科学性・非人間性である。日本を神の国だとする思想、天皇を現人神とする皇国史観である。「大日本帝国ハ万世一系の天皇之ヲ統治ス」「天皇は神聖ニシテ侵スベカラズ」「天皇ハ陸海軍ヲ統帥ス」。この明治憲法に明記された絶対主義天皇制こそ近代日本の国体であった。治安維持法は国体の変革を目的にした結社を禁じた。自由、民主、平和の運動も思想も苛酷な弾圧を受け、国民は侵略戦争にかり出される。犠牲者310万人、アジアでは2000万人。国・皇国日本の国体がつくった運命である。

 

 日本の支配層は戦後も国体護持を図ったが新しい時代の流れには抗しえなかった。天皇は神ではなくなった。その地位は主権者・国民の象徴であり、国政に関する権能を持たない(現憲法)。諸悪と不幸の根源であった国体は変わったのである。今では国体という用語もあまり聞かない。だが「日本は天皇を中心とする神の国」と言った首相がいる(2000年、森喜朗)。明白な違憲発言である。今なお過去に無反省な歴史観・国体護持論者が存在している証左だろう。この人たちには戦争犠牲者の心の叫びが聞こえないのか。

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コメント

ブログの方読ませて頂きました。
とても勉強されていて、理論的だと思いました。
しかし、犠牲者の心の声は痛いほど時の政府首脳は痛感していたでしょう。
ですから、多数の政府、軍首脳の方々は終戦と共に自決しておられます。
それと、そもそもなぜ日本はアメリカと戦争するに至ったか。
ここの論点が抜けている様に思います。
当時、まだ人種差別が横行していた時代で亜細亜は欧米諸国に好き放題に侵略され、ソ連は南下政策により朝鮮をおびやかし。
アメリカは対日石油全面禁輸。
このままでは日本も危ないと、日本人皆が立ち上がり亜細亜解放、白人主義打倒のために戦いを望んだ時代背景があります。
戦わざるを得なかった、戦わなければ亜細亜は白人により食い尽くされるか、ソ連により共産化されていたでしょう。
まさに自存自衛のために日本人皆が戦ったのです。
その犠牲を憎むのでは魂が浮かばれません。
あなたが日本人ならば、ありがとうございますと讃えてはどうでしょうか。
アメリカは

非国民!

京橋の惨劇の事は初めて知りました。機銃掃射で民間人を虐殺し、原爆で人体実験を反復し、今日もアジアで民間人虐殺を続ける米兵が、日曜日には基督教会で敬虔振り、日本の被災地では人助けをやって見せる。人間を含めた大自然以外は一切存在せず、古今東西の神々は例外無く人間の創作で、語られる凡ゆる教義は歴史を伝える貴重な暗喩であるのに、理解力を欠く大多数の後継者と政治的理由に因って誤解・悪用され続け、神道も例外では無いのかも知れません。御怒の対象は無学無能の日本史上の指導者達では無いのですか。

左翼の教科書みたいな記事ですね。

昭和天皇が降伏を決断されたのは第一に国民の生命を守るため、第二に国体護持のためであり、自身は処刑される覚悟の上でした。

あなたが勉強不足により誤った思想を持つのは一向にかまいません。しかし、日本が他国を侵略し、さらにその責任が天皇や国体にあるという「真っ赤な嘘」を広めるのはやめてください。

明日に繋ぎたいという件名でしたので、拝見しましたが、とても明日に繋げる記事ではなく、愕然としました。同じ日本人として恥ずかしく思います。

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